ある晴れた朝のことでした、鏡の前で髪を整えようとした私は、不意に自分の前頭部の生え際が以前よりも後退し、おでこが広くなっていることに気づき、背筋が凍りつくような衝撃を受けました。それまでは自分の髪の毛は一生変わらないものだとどこかで信じ込んでいたのですが、一度気になり始めると、街中のショーウィンドウに映る自分のシルエットや、エスカレーターで後ろに立つ人の視線までもが私の前頭部に注がれているような被害妄想に陥るほど、心は深く傷ついていました。最初は市販の育毛剤を片っ端から試しましたが、期待したほどの変化は現れず、焦りだけが募る日々の中で、私は自分の生き方そのものを変えなければいけないと一念発起したのです。私がまず始めたのは、徹底した食生活の改善でした。それまでは忙しさにかまけてコンビニ弁当やカップ麺で済ませることが多かったのですが、髪の材料となるタンパク質を意識して鶏肉や卵、納豆を毎日欠かさず摂取し、さらに亜鉛やビタミンを補うために彩り豊かな野菜を献立の中心に据えるようにしました。次に、これまで疎かにしていた睡眠の質にこだわり、寝る二時間前にはスマートフォンを遠ざけて、湯船にゆっくり浸かることで副交感神経を有位にするよう努めたところ、朝の目覚めが良くなると同時に、頭皮のベタつきが軽減されるのを実感しました。さらに、お風呂上がりの習慣として、凝り固まった前頭部を優しくほぐす頭皮マッサージを導入しましたが、これが意外にも精神的なリラックス効果をもたらし、日中のイライラが減少するという副次的なメリットも生まれました。変化は劇的なものではなく、最初の数ヶ月は目に見える違いがありませんでしたが、半年が過ぎた頃、散髪に行った際に美容師から「髪の根元に力が戻ってきましたね」と言われた時の喜びは一生忘れられません。前頭部の薄毛という現実は確かに辛いものでしたが、それをきっかけに自分の身体と対話し、大切に扱うことを学べたことは、今の私にとって大きな財産となっています。髪の状態は単なる外見の問題ではなく、今の自分の生き方が正しいかどうかを教えてくれるバロメーターであり、これからも慢心することなく、自分をいたわる習慣を続けていこうと心に決めています。
前頭部の薄毛に気づいたあの日から私が始めた習慣